筋トレを奨める訳は(17)・・・

出る杭になる前に殺人パンチャー佐和田先輩の強烈な右フック鉄拳制裁を叩き込まれた瞬間、私はしゃがみ込んでしまいました。
後にも先にもダウンしたのは私の格闘技人生であの1回だけです。

K先輩のボディーフックを喰らって肋骨を骨折した時も、すぐに反撃してローリングソバットを鳩尾に決めました。T先輩のボディーアッパーを喰らった時もダウンはしませんでした。

しかし、佐和田先輩のパンチはまずかった。

記憶が飛んだ訳ではないのですが、このたった一発で私の前歯歯はほんの少し欠けてしまい、足も動かなくなってしまったのです。
ちなみに大道塾では顔面ありのスパーリングをする際に、スーパーセーフという透明の半球状硬質プラスチックとボクシングのヘッドギアをミックスした専用防具を装着します。

当然、門下生・選手の安全を確保するために東先生が思考錯誤を繰り返して完成した代物です。頑丈さも生半可なものではありません。
ところが、佐和田先輩の殺人右フックは左斜め前に大きく一歩踏み込んで打って来るので・・・
・見えない(一瞬視界から消える)
・気付いたら目の前にある
・真正面から突き刺される
のです。
マウンド上からワインドアップで振りかぶって剛速球を投げ下ろしてくる、

我らが福岡ソフトバンクホークス福岡ソフトバンクホークスの守護神 馬原孝浩投手の最速153km/hの直球を顔面に喰らうことを想像していただければ、恐怖のイメージも湧こうというものです。
(ちなみに私はシーズンオフの馬原投手のトレーニング指導をさせていただいたことがあります。その時は武術を取り入れたトレーニングを行いました。)
さて、それを実際に喰らうとどういうことが起きるのか?
客観的に側面から見ると・・・
1)スーパーセーフの硬質プラスチック部分に正面から完璧に垂直に拳が突き刺さり、
2)ヘッドギアの変形が始まり、
3)顔面とプラスチック部分との間に10cmも確保されている空間が急速に狭まり、
4)どういうわけか顔面から血血が噴き出す
のです。ちっともスーパーセーフじゃないっ!と怒る間もなく立っていられなくなってしまうという訳。恐ろしいでしょ?
このような理由により、私は毎週3回もこの悪魔悪魔の前に立つ勇気はなく、自然と筋トレ筋トレ優先のパターンにはまり込んで行ったという訳でした。
ちなみに大道塾での稽古から足は遠退いていくのですが、空手や格闘技が嫌いになった訳ではなく、ジムの友人や法政大学のサークルを通じてフリーに活動の場を持っていました。
その中でキックの全日本ミドル級3位やテコンドーの軽量級全日本チャンピオンともスパーリングをやらせてもらう機会がありましたが、痛い目にあったことは一度もありません。
九州総合格闘技選手権重量級で優勝したE君は何度かKOさせてもらいました。
つまり何が言いたいかというと尻尾を巻いて大道塾を離れた私が弱いのではなく、

あの佐和田先輩が悪魔的に強かったというだけなのです。

そもそも全盛期のマイク・タイソンを「倒せますよ」と事もなげに言い切ってしまう人間です。

危険極まりないと本能が感じました。
それでも私が廃人にならずに済んだのは、筋トレで少しずつではありましたが筋肉が増えつつあったこと、体幹部強化の一環として首横顔の強化を行っていたことが理由として考えられます。
そう。首を鍛えると良いことがあるのです。この思い付きが確信に変わるのはもっとずっと後の話、FITNESS & SPORTS CONDITIONING GYM GETをOPENして以降の話になりますが、どうやらその辺の話に触れる段階が来たようです。。。

信ずる者は救われる(8)・・・

ある人が目標を立てたとして、
その目標の高さと現実の自分とのレベルの差にもよりますが、
何れは大小「壁」が発生します。
この「壁」はハードルハードルと言っても良いし、山山と呼んでも構わないのですが、要するに「障壁」です。簡単に目標を達成させてはくれません。
これにぶち当たった時に人には、当初いくつかの選択肢があります。
・もう一度チャレンジする
・何度でもチャレンジする
・別の目標に変更する
・チャレンジを止める
ところが、このチャレンジに時間的制約5時が加わる場合(ほとんどのケースがそうですが)、
・何度でもチャレンジする
ことは事実上不可能になってきます。

そして、スポーツtennis*badminton*volleyball*バスケットボール野球soccer*rugby*・・・の世界では特に時間的制約は厳しくなってきます。
・最後の夏の大会
・今季の成績次第では契約解除
・試合時間残り5分
・・・等々、時間的制約の例えにはキリがありません。
皆さんは、スポーツの世界で「(良い)結果」を残せないことを
・対戦する相手や
・自分の記録や
・大会会場
・使用する道具
等に原因を求めて、思い込んで、 “間違いのド壺ツボに嵌まっています。
しかし、最も考えなければいけないのは「時間」の事なのです。これは限りなく「有限」です。
・馬鹿と
・愚か者は
そのことが全く理解できていません。
だから平気で、
・何回でもチャレンジしてみたら良いじゃないか
・できるまでやってみよう
・挑戦することが大事
等と宣うのです。
確かにそうすることも間違いではない場合もあります。
しかし、条件付きであることが多く、「正解」である保証はありません。
外科医医者が先天性胆道閉鎖症の子供のオペを行う場合に、「上手く行くまで何回でもやりますよ」と考えているでしょうか?
ピークを過ぎかかったベテランスプリンターダッシュがオリンピック最終選考会に臨む場合に、「ダメだったら次の選考会に出るよ」と考えているでしょうか?
肘を痛めて十分に練習ができなかった中学3年生のピッチャーが中学最後の夏の大会に臨む場合に、「来年があるさ」と声をかけれますか?
答は完全にNO!です。
誰かが何か目標を立ててチャレンジを試みる場合、
「時間」が「対戦相手」や「標準記録」や「自己ベスト」といったものに姿を変えて立ち塞がります。

その本質が「時間」であると気付いた時には、あなたのピークは終わっているか、気持ちが折れているでしょう。
そこで、自分を失敗に終わらせないための予防システムとして、
・緊張感
・焦り
・悩み
・痛み
・疲労感
・恐怖
等を感じさせる訳です。
しかし、それを感じることは出来ても、具体的な対策となると、

一生懸命頑張る」というような甚だ具体性を欠いたものしか行われていないのが実状でしょう。
あなたが実力を発揮できない理由や目標を実現できない理由は、これが根本的な原因なのです。

信ずる者は救われる(7)・・・

もう一度書いておきます。
「メンタルトレーニング」は魔法ではありません。
「言語」を用いて意味や内容を理解して、
問題を解決できるまで継続するトレーニングなのです。

だから・・・
・「勉強」しない人
・「勉強」が嫌いな人
・頭が悪い人
には効果がありません。

限られた期間内で結果を出さなければならない人にとっては、時間の無駄になる可能性すらあるのです。
また、トレーニングをさせる(指導する)側の力量も重要です。
商社マンで時期平取締役への昇進を目指していた彼も、大学野球部で部活の時だけ黙々と頑張っていたA君にも、そういった意味での優秀な指導者はいなかったのだと思います。
このようなケースは現状の日本では少なくないでしょう。となると・・・
1)「自分で」何とかするか
2)上手に指導してくれる「誰か」を探すか
しか手立てがないでしょう。
この辺りのことを次で述べて行くことにします。
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信ずる者は救われる(6)・・・

「メンタルトレーニングの核心」と書くと仰々しいのですが、
実は・・・
何ということはなく、
「効果がある人もいるけどない人もいる」
という絶対的な真実をまず受け入れてください。
それは何故でしょうか?
そう問い掛けられると返答に窮する方も多いでしょうが、
効果が出ないことをしていても効果は出ないでしょう?
当たり前ですよね。
祈って病気が治るなら医者は不要です。
祈って治るならガンも怖くないでしょう。
でもそんなことがありますか?
・どこどこの●◎▲△は%&$#の神様らしくてすごく効くらしい
・不治の病にかかったAさんはXYZにお参りして治ったらしい
・・・よく聞く話ではあります。
が、そんなことは少なくとも因果関係にはない。
全く科学的ではありません。
断っておきますが、私は科学万能というつもりも非科学的なことは有り得ないというつもりも全くありません。
ただし、本件については、
「病気を避けるには病理を理解し、リスクファクターを取り除き、モアベターな生活を実践すること以上に重要なことはない」
と断言します。
少なくとも乱れた生活習慣を改めることもないままで神社参りをいくら繰り返したところで何の役にも立たない。
(そう考えればインチキ臭いことをあれこれ言ってる人間がいかに身の回りに沢山いるかがわかるでしょう。)
また、野球の技術だけをいくら磨いたところで、
・体調の良し悪し
・相手との駆け引き
・相手との相性
・野球にかける想いの強さ
等々、結果に影響する要因は殊の外大きいのです。
超一流は別としても、そこそこに才能ある選手はじつは掃いて捨てる程います。
仮にその中から
・同じような背格好で
・同じ程度の経験を持ち
・同じ指導者から指導を受けることができる
二人の選手を取り出して考えてみましょう。
・A君は野球部の練習の時だけは集中して頑張っていますが、一見野球に関係なさそうな大学講義やオフの過ごし方については無頓着です。
・B君は野球部の練習も真剣ですが、大学の講義にもきちんと出席し成績も優秀です。彼は全てが自分を成長させる勉強だと思っていて、そのことが野球にも好影響を与えるものと信じています。そしてオフの日にはしっかり体を回復させるためにストレッチやマッサージにも余念がありません。
皆さんはA君・B君のどちらの方が「野球選手」として成長できると思いますか?皆さんが日頃テレビや球場で観て活躍している選手はどちらのタイプだと思いますか?
よく考えてみてください。
「メンタルトレーニング」は魔法ではありません。
「言語」を用いて意味や内容を理解して、
問題を解決できるまで継続するトレーニングなのです。
もう賢明な読者諸氏におかれましてはお分かりになっていらっしゃることでしょう。。。
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sent from WILLCOM 03

いつ熱中症になってもおかしくない毎日が・・・

続いていますね。
いや本当に今日もクソ暑い(失礼!)炎天下でテニステニスをしてきました。さすがに90分間を通すことは出来ず、途中で2度ブレイクを入れました。冷水器の水水飲みが大変美味しく感じた次第です。
さて、テニスを終えて控室に戻って来たところに届いたメールを紹介します。
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森部先生お久しぶりです。ABCDです。
以前のメールでは大変貴重なアドバイス有難うございました。
あれからすぐに森部先生流の懸垂と先生流の背筋、スクワットをしました。そのメニューをこなしているうちに3キロ体重が増えました。

懸垂に関しては、35回まで記録が伸びました。安定して50回できたら高校野球の世界では日本一でしたね。ですから、高校入学までに43回、高校3年までに55回。これを目標にやっていきたいと思います。
さて、自分の筋力、野球技術をさらに大きく向上させるには、この夏休みが勝負だと思います。自分は打撃を大きく向上させたいです。守備では、野手で投手もできるぐらいが理想です。
でもやっぱり打撃を向上させるのが1ばんです。打撃の中でも長打を意識して練習していきたいです。僕は右バッターなので、球場のレフト側のフェンスぐらいは打球が越せるのですが、センターのバックスクリーンやライトのフェンスにはなかなか打球が越せません。
ですから、最低でもこの夏休み中にセンターのバックスクリーンに打球を放り込めるぐらいの体力と野球技術をつけたいと思います。
そのためにはあの3つのトレーニング以外にどんなトレーニングをすればいいか、そして、この夏休みをどのように過ごせばいいか、森部先生の意見をお聞かせください。
楽しみに待っています。
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確実に成長しているABCDさんは中学3年生。高校野球の強豪校への進学を目標に日々頑張ってあります。
この礼儀正しい文章、文脈に表れた真摯な姿勢、具体的な努力とそれを証明する成果、どれもが素晴らしい。この方の保護者様、部活動を指導していらっしゃる監督・コーチに一度お会いしてみたいですね。
心技体の充実を以てアスリートのパフォーマンスを評価すべきだとかねてから思っている私としては、今最も注目している選手です。皆様、応援の程宜しくお願い申し上げます。
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sent from WILLCOM 03

信ずる者は救われる(5)・・・

「メンタルトレーニングが効を奏するには条件がある」
ということを説明するために述べた二つの事例は・・・
・昇進を控えてライバルとの競争に臨んでいる中年商社マン

・将来プロ野球選手を目指している才能豊かな大学1年生のA君
とのことでした。
そしてフィールドを異にするこの二人にはいくつもの共通点があります。
1)目標実現に向けて具体的に努力を続けている。
2)その努力は肉体的な労作である。
3)その部分についての努力は惜しまないが、それ以外のことになると集中力を欠いたり、全力を尽くす事ができない。
4)自分の専門外のことや苦手なことには本気になれない。
5)身近にアドバイザーがいないか、いても参考にしていない。
6)自分を客観視することが不得手である。
7)客観的に専門分野における才能はあるが、それをもう1ランク以上上げるための術を知らない。
等々のことです。
ちなみにこの二人は実在します。
そして・・・
商社マンは深刻な病に侵され、残りの人生は一生投薬しなければならなくなって、出世レースからは事実上完全にコースアウトしてしまいました。
野球部のA君は進級が危うくなり、熱心なキャリア基礎ゼミ担任のフォローで何とか持ち直すも、次年度には新入生の逸材に存在を脅かされ、結局はレギュラー獲得には至りませんでした。その結果、彼は大学を退学することになりました。
さて、このシリーズが始まってから、私は一度も具体的なメンタルトレーニングの話をしていないのですが、それでもほとんど答のような内容を紹介してきたつもりです。一体私は何を言いたいのか?
いよいよメンタルトレーニングの核心に触れていくことになります・・・。

筋トレを奨める訳は(16)・・・

東孝先生の勧めとあって一も二もなくジムへ入会した私の目的は、
「筋肉筋肉を付けて体重を増やすこと」でした。
それは「空手押忍」のために。
そして、その空手は結局のところ暴力に対する抑止力を身につけるために始めたものです。
小学校1年生ランドセル時点から既に意味不明な難癖を付けられ、本人や周囲がそれをどういう事と捉えるかは置いておいて、明らかに暴力的な問題が渦巻く中で生きてきました。
鉛筆鉛筆を腕オーッ!と足脚に突き刺されたこともありますし、
一番硬いものは車のジャッキ(パンク修理の時に車をテコの原理で持ち上げる菱形の道具)で襲われたこともありますし、
・・・大小含めて他にも諸々ありました。
集団では、最初に小学校5年生で20人から囲まれて蹴りを入れられたこともあります。

(通りがかったおばさんは助けてくれなかったなあ・・・)
が、都度奇跡的に生還する強運の私。
ほぼ無傷というのは自慢です♪
(しかし、巻き込まれない方が良いに決まっています。←これは今後のキーワードにもなってきます。)
そこには正に秘密の処世術があるのですが、
そういった意味で最強と信じていた東孝先生の弟子になるのは時間の問題だったのかも知れません。
本格的に習い事を始める前は、自主トレを行っていましたし、通販でトレーニング器具もそこそこ買い集めたものです。
・上半身裸になって百匁蝋燭ろうそくの炎をパンチパーーーンチ!の風圧で消すとか、
・自転車のチューブの抵抗に逆らってパンチを打つとか
・吊り下げたサンドバッグを蹴り蹴り続けるとか
その他諸々・・・既に中学2年生では部活と平行してやっていました。
(しかし、一番きつかったのがバレー部バレーの練習だとは誰も思わないでしょう。これはある意味大道塾の稽古よりも余裕できつかった・・・)
その後、少林寺拳法を始めて高校2年生までに二段(少拳士)をもらうのですが、その全ては身に降り懸かる暴力に対する抑止力を目的としたものでした。
したがって、こんな危険な奴(襲われるという意味で)にはまともな人はあまり深入りして来ないもので、高校2年生未満までの段階で親友と呼べるような人は殆どいない状況なのです。
それがジムに行くようになり、
筋トレを継続することで、
明らかに変わったのですから驚くではありませんか。
その延長線上に(15)で書いた
(ジムに行って良かったなー。筋肉と筋力があると全然スパーリングの質が変わるぞ!)
という感触もあったという訳です。
ジム入会後、半年もたった頃、あれほど何をどれだけ食べても太らなかった寄生虫ハリガネムシに浸食されているのではないだろうか?と精密検査まで二度も受けに行った蚊蚊トンボトンボ然の体にも筋肉が付き始めていました。
(ちなみに私は焼肉食い放題で2kg食べても、リンガーハットのWちゃんぽんを2杯食べても、カレーライスカレーを三合分食べても、翌日の朝にはきっちり元に戻っていました。元の木阿弥というのは俺の事ではないのか?と真剣に悩んだ時期は結構長かったです・・・)
その結果、
荒くれ者のパンチや蹴りを受けても捌いて落ち着いてスパーリングできるようになってきたのです。
空手の稽古量が減っているのにも関わらず。
しかし、
(筋トレってスゲエ♪・・・)
と調子に乗ったのも三月(みつき)と持たず、
同期や少し先輩達と互角以上に渡り合えるようになってから、
あの方の恐怖のパンチ鉄拳制裁を叩き込まれる羽目に・・・
出る杭は打たれると言いますが、
出る前に打たれたのは私のトラウマになっていますare-?*

筋トレを奨める訳は(15)・・・

「強そうに見える身体」とはごつくてデカイ体だと単純に思います。
そもそも、大道塾で空手を始めたのも人間機関車と異名を取った東孝先生の『はみ出し空手』を読んだからであって、東先生の強さ以上にあの強靭な鋼のような体に憧れたからでした。
大道塾へ入門すれば東先生のようになれる!今となっては勘違いも甚だしい馬鹿げた妄想なのですが、当時は短絡的にそう思っていました。
よくよく思い返してみると実は、
東先生のあの肉体は空手の稽古ではなくて、
常軌を逸するかのような苛酷な筋トレ
(実はかなり緻密に行われているのですが素が違いすぎます・・・)
で造られていたのです。
その先生から
「ウエイトをやれい!」
と命じられたのですから一も二もなく
「押忍」
の一言でジムへ行った訳ですが、
通い始めて暫くすると道場とは違う種類の人達が集まっていることに気が付きました。世代や性別が違えば目的も異なるのは当然ですから、同世代のジム仲間に限って見てみると・・・
・お洒落で
・話題が豊富で
・にこやかで
・人生を楽しんでいる
ように感じました。
空手や拳法やボクシングやテコンドーなどの格闘技をやっている人達が多くて、
やはり、強さとか筋肉に関する話題は中心にはありましたが、ファッションや映画や音楽やレジャーなども楽しんでいて、余裕が感じられたものです。そして皆デカかったし、力が強かった。
道場ではそもそも照明が暗く、
「押忍」
と挨拶して中に入っても、
何だかその後に始まるドツキ合いのための心と体の準備が必要で無意識のうちに無言になり、
黙々とストレッチやウォームアップをしていたものです。
心の中では大袈裟に言うと
(殺す!)
位の殺伐とした概念が勢力を増していました。
ジキルとハイド状態か?
何せ甘い気持ちでは本当に
「痛い」
目に遭う
ので、準備は馬鹿にできませんでした。
それがジムとなると、
「コンチハー」
と軽い挨拶をして受付を済ませ、
ロッカールームへ行き、
更衣を済ませてトレーニングルームに入ると・・・
「いやー、昨日のベンチが凄く効いてて筋肉痛がひどいんだよねー」
「でしょ?やり過ぎじゃないのぉ?でも何か胸デカくなってねえ?」
「そうっすかねー?」
といった軽~い感じなんですよ。
道場と比べると、動物園で喩えれば、猛獣の檻の中と「ウサギと遊ぼう」コーナー位の違いがありました。
・精神衛生上も(殺すか笑うかといった点で)
・肉体健康上も(打撲や捻挫になるかならないかといった点で)
・清潔感の点からも(シャワーの有無の点で)
私の中での軍配はジムに上がってしまいました。
そしてジムへ通う比重が高くなったころから道場で不思議なことが起こり始めたのです。道場へ入門当初は週に3回欠かさず稽古へ出向いていたのですが、ジムへ入会してからは月に2回程度しか道場へ行かないようになっていました。
しかし、何故か道場での稽古を以前程きつく感じなくなってきたのです。後にそれはプレッシャーから来る呼吸の乱れに原因があることが分かるのですが、当時はただ体感するだけのことでした。
(ジムに行って良かったなー。筋肉と筋力があると全然スパーリングの質が変わるぞ!)
ジム入会後から半年が経過していました。

筋トレを奨める訳は(14)・・・

アパートアパート→大学がっこう→ジムジム+シャワーシャワー(これが重要)→バイト2(ではバイト1は?)という生活行動パターンは大学3年生の時に確立するのですが・・・
2年生の後期中まではまだ大道塾押忍にも籍を置いていたので、頻度は極端に減ったものの道場へは時々顔を出していました。
当時の私は緑帯3級まで昇進していたのですが、そもそも入会した当初に東先生が、
「うち(大道塾)は極真の黒帯に昇進することを緑帯までにやってしまうんだぞぉ(そしたら、もっと頑張らないといけねえぞ、おめぇたちわぁ・・・)」
と、おっしゃっていたので、そこを一つのゴールGOALにセッティングしてしまっていましたまったり
それで分析するに・・・
1)緑帯までは最短のスピードで昇進したこと
2)茶帯以上は大道塾では顔面あり、投げあり、関節あり、金的ありという相当に危険なレベルに突入すること
3)直上に佐和田亮二という本当に1パンチで対戦相手をKOする先輩がいたこと
(水色帯時代=初心者に毛が生えた程度の頃体重別全日本選手権の選手係をした時には重量級の西良典先輩らつわものがひしめき合っていたのですが、圧巻だったのは何と言っても中量級の佐和田先輩でした。目の前で対戦相手が次々にバタバタと1発のパンチで倒れていくのは驚異以外の何物でもなく、救急車救急車で運ばれた患者=ついさっきまでは対戦者が三日間意識不明に陥るなどの噂も飛び交いふるえ上がったものです。まさか後にそのパンチを自分が道場で喰らうことになるとは思いも寄らぬことでしたが、実際にスパーリングした後で「自分わぁ、顔面ありになると手加減できないのさぁ・・・」と言われた時にはぞ~っコワイ…としたものです。)
4)指導員の佐和田先輩と緑帯の私との間に他の黒帯や茶帯の先輩がいなくなり、同期生もいなくなって佐和田先輩と当たる確立が高くなってしまったこと
5)同じレベルだった仲間の攻撃を受けて捌くことが余裕を持って出来るようになってきたこと
(蚊トンボだった私にも薄皮を1枚ずつ貼り付けるように筋肉筋肉がついてきており、体重は筋肉だけで5kg増えて60kgになっていました。ジムで貧弱だと思っていたのは周りの人が凄過ぎただけで、トレーニングが裏切った訳ではなかったのです。)
6)大道塾入門当初、超合金のように畏怖して崇めていたI先輩という方がいらっしゃったのですが・・・
(I先輩は道場では一番の筋肉マンマッチョで、何をやっても全て弾き飛ばされていました。ただし、この方はとても優しくて、後輩たちの攻撃を受けても自分の攻撃は手加減してくださった異色の先輩でした。)
その先輩に帯の色で並び、ガチでやっても受け止め切れるようになって来た頃、私は彼の心臓心臓を止めてしまったのです。後に明らかになったことですが、I先輩には心臓の持病があり、度々不整脈心電図が出ていたらしく、スパーリングの際に私の後ろ蹴りがまともに心臓に入ってしゃがみ込まれました。そしてみるみるうちに屈強な筋肉の鎧に包まれた先輩の体が内側に向けて縮こまり始め、失禁まで。。。呼び掛けにも反応せず、心臓マッサージを施すことに。救急車が到着するまでの間に心臓は蘇生したのですが、道衣を着たまま救急車に道場して東京女子医大病院へ向かった時、辞めようという潜在意識が働いたこと
7)空手では散々痛い目にもあったのですが、ジムでは筋肉痛にはなってもケガをさせることもさせられることもなかったこと
などの理由から結局は空手を去り、筋トレジム一本でやっていくことにしました。そこからの興味は一旦・・・
「強くなりたい」から「強そうに見える身体になりたい」へと変わっていくのですが、これが思わぬ失敗を招くことになろうとは露知らず・・・
私の遠回り人生は既に始まっていたのでした。。。

信ずる者は救われる(4)・・・

「メンタルトレーニングが効を奏するには条件がある」
ということを説明するためのもう一つの事例です。
次のシチュエーションをイメージしてみてください。
***********************
野球のグランド。
バックネットの前で黙々とバットを振るA。
Aは大学1年生。
特別推薦枠で甲子園常連校から入って来た期待の新人だ。
「将来はプロ野球選手になりたいです」
と新入生歓迎会の席上で声高らかに宣言したAは確かにグランドでは人一倍声を出し、率先して練習に励んでいた。
大学の1時間目の授業に遅刻して入って来るA。
数人の野球部1年生と一緒に講義室の後方から入り、後方に陣取る。
講義は始まっている。
「・・・ということで、この企業にとってのステークホルダーは株主以外にも顧客、取引先、スポンサー、記事として取り上げてくれているB新聞と多岐にわたるんだね。分かるかな?」
と熱心に説明している科目担当准教授の声には全く耳を傾けず、チームメイトと私語に熱中するか居眠りするのが習い性になるまでに大して時間はかからなかった。
Aの授業態度はその後も改善されず、前期が終了する頃には出席率とレポート提出のいずれも不足している状況であった。他の履修科目も・・・
6月の定例教授会の席上、教務課C氏より学生指導についてお願いがなされる。
「・・・以上、出席不良学生についての指導を各ゼミの先生方におかれましてはくれぐれもよろしくお願いいたします。その結果報告はweb上の学生個人面談シートに残されますように重ねてお願い申し上げます」と。
翌日、キャリア基礎演習担当のD講師に呼び出され研究室に出向いたA。
「Aはさあ、自分の出席状況を確認してる?」
「はあ、まあ・・・」
「4科目は出席足りてないよ」
「・・・」
「出席すべき回数の三分の一以上欠席すると単位が取れないって知っているよね?」
「は、はい・・・」
「野球は頑張っているようだけど進級できなくなってはまずいんじゃないか?後期は気持ちを切替て臨まないと肝心の野球ができないんじゃないの?」
「・・・」
***********************
Aがこの大学を選んだ理由は、
・大学野球界での名門であり
・地元の大学ではNo1の強豪であり、
・プロ野球選手を多数輩出しているからであり、
・ライバルが多くて競い合えるからであり、
・野球に必要な環境が揃っているから
だったのです。全ては野球のためであり、野球以外に興味はありませんでした。
しかし、野球以外の全てが「野球に絡んでくる」とは考えきれなかったようです。
・ルールを守ること
・ピンチを守り抜きチャンスを作り出すこと
・苦手を克服し長所をより伸ばすこと
は野球に限らず全ての競技スポーツ選手にとって必要なことですが、
本当の超一流を除くと、残りの99%の競技者にとって、
競技力向上のためのスキルやメンタリティを高める場所は部活動を行っている
・グランド
・体育館
・コート
・道場
・トレーニング室
といったところに過ぎません。
そしてご多分に漏れずA君もその一人だったのです。
さあ、皆さん前回と今回の記事で取り上げた二つの事例から、メンタルトレーニングを成功させる(=メンタルトレーニングで効果を出す)ためのポイントを少しご自身で考えてみてください。